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インターナショナルスクールをひとくくりにして一概に述べるのは難しいのですが、日本的な教育とは明らかに異なる部分が多いので、入学したばかりの生徒や保護者にとっても戸惑う部分が多いと思われます。
アメリカ式やイギリス式などのカリキュラムも、近年では根本は非常に似通ってきたと感じます。以前はアメリカ式は、選択科目が多いなどの特徴がありましたが、近年はイギリス式でも自分で科目を選びながら進めていく学習が主となり、科目選択の自由度は、アメリカ式の特徴でもなくなってきました。
そんな中、インター校の共通点をあげるならば、「構成主義」的なアプローチを取っている学校がほとんどである、ということが言えるでしょう。このようなアプローチには、下記のような特徴があります。
結果、「生徒中心型」の教育となる。ここでいう生徒中心とは、生徒が好き勝手に勉強したいことを決める、という意味ではない。先生はある決まったカリキュラムに沿って教えるのではなく、生徒の進みや興味関心を見定め、学びが最も促進される環境を提供するために生徒をよく観察する、といった試みをする。これが「生徒中心型」といわれるゆえんとなる。
結果、生徒が自分の学習に対して責任を持つという認識を持つように先生は促すことになる。そのため、「生徒にどのようなことを求めているのか、指導者は明確にする必要がある」。こうすることで自発性を重んじるため、「答えを出さずに問いを出す」、というやり方を好む。
学習塾GENIIも、「GENIIってどんな塾」でも書かれているように、この構成主義的な教育の考え方に影響を受けています。
具体的に、以下のような取り組みが、インター校では通例行われています。
もちろんこの他にも、伝統主義的な教育に見られる定期テストも存在しますが、先生が一方的に説明をするレクチャー形式の授業形態の割合は日本などに比べると少ないと言って良いでしょう。
科学に裏打ちされた、先進的な素晴らしいと思われる教育理念に基づいた主義であっても、以下のような問題点もあり、場合によっては決して良い結果を生むとは言えません。
以上のように、理念は素晴らしくても現実的な課題があるのも事実。それを解消するために、欧米ではエッセイの評価やディスカッションの評価にルブリックという評価基準を設け、先生が観察と洞察によって生徒の学びを評価したりするシステムができつつあります。しかし、こういった先進主義的なものから派生した学習方法というのは、伝統的な教育とまったく別の形式となるので、勉強熱心な先生ならば対応できるかもしれないが、末端にまで浸透させるのが難しい、というのが現状です。現に、インター校でも何人かの先生が「いい加減」と生徒から酷評されることもしばしば。実際に指導要領のようなものが存在していないのではないか、というような行き当たりばったりな授業をする先生もいるという。そうなると授業中に何も達成できていない、と生徒が感じてしまいます。生徒の評価を定期テストなどの試験に依存している部分が少ない分、客観的評価に関するテクニックと、先生への評価の基準を設けることが、インター校のこれからの課題と言えるでしょう。