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近年の帰国子女大学受験を一言で述べるとすれば、それは「多様化」となります。帰国子女受験、そして場合によってはAO入試制度などを利用して日本の大学へと入る生徒たちには選択肢が多くあります。文系ならば、書類選考、小論文、面接、英語試験、国語試験、あるいはAO入試を狙う帰国性ならプリゼンテーションやグループ面接によるディスカッションなども含めた、これらの受験要項の組み合わせで受験をすることになったり、理系ならば上記のものの他に、数学、物理、化学、生物などの試験も受験する必要があったりします。海外の大学を目指す場合は、ほとんどが書類選考で済んでしまいますので、TOEFLやSATや成績やカレッジエッセイ(書類として提出する志望理由を含む論文のようなもの)などで判断されます。場合によっては面接試験などもありますが、英語圏の学校であれば大抵の大学では必要ない過程です。
例えば、東京大学の場合、例年通りならば一次が書類選考(IBスコア、SATスコア、TOEFLスコアなどを提出)となり、二次選考で文系ならば英語と小論文と面接、理系ならば英語と小論文と面接に加えて数学と物理・化学・生物の中から2教科選んで受験する、という形になります。しかも、東大の場合、小学校から高校卒業まで12年の過程の中で、10年以上(厳密に言うと、小学生時代5年以上、中高生時代5年以上の合わせて10年)海外の現地校あるいはインターナショナルスクール(認定校のみ)へと通っていた場合、外国人枠と同じと見なされ、秋入学の英語プログラムへの出願資格を得ることもできます。この場合、書類選考でIBスコア、SATスコア、TOEFLスコアなどの提出、その上で面接があります。
上記のように、一つの学校だけをとっても複雑な受験構成となっており、これが一橋大学、慶應大学、早稲田大学など、大学別だけでなく、大学内の学部や受験形式の差で必要書類などから選抜方法まで変わってきてしまいますので、「これだけやっておけば良い」というものがなかなか決まりません。ただ、共通事項としては、TOEFLやSATのスコア(SATのスコアはレベルの高い大学でしか基本的に必要とされません。そして、IBスコアで代用可能でもあります。)で高得点を取っておくと、先々の試験や書類選考に関して有利である上に、受験英語などにも応用できるということ(東大などは例年TOEFL110点以下でSAT2000点以下の生徒は、他に何かしら輝くものが無い限り、一次審査で落とす傾向にあると言われています。ただし、一橋大学などに関してはTOEFLやSATのスコアはそれほど重視されてはいません。)、小論文はほとんどの大学で必要とされること(海外の大学や国際教養学部系は別)、面接はしかりと受け答えができるように練習しておくことが大切、などがあげられます。
全体としては、東京が激戦区となり、都心から外れていくと競争が緩やかになる傾向があります。特に地方の国公立だと、大学の格に反して帰国生に受験が易しい傾向にあるように思われます。
それでは、どういう対策をしていけばいいのか、帰国子女受験のシミュレーションをしてみましょう。添付ファイルにある、当塾で作成した帰国子女受験に向けての大学進学モデルをご参考ください。尚、このモデルは絶対的なものでもなく、あくまでも指針として考えていただければ幸いです。