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タイの英才教育についての一考

私が昔インター校に通っていた時代、タイ人の同級生というのはほぼ皆まんべんなく英語とタイ語を当たり前のように使いこなしていた。トップの成績をおさめていたのは大抵ガリ勉インド人だったり台湾人だったりしていたが、タイ人も当時PBT TOEFL600点以上(iBT100点)取得する生徒がほとんどで、日本人の基準で言えば十分優等生であった。ただ、不思議だったのが、意外と不真面目な生徒が多かったことである。「あんなに不真面目で、よくあんな成績が取れるもんだ」と子供心に思ったものだ。

後にインター校の生徒を教えながら、タイ人の生徒も少なからず教えてきたが、大体みな総じて英語がナチュラルにできているし、かなり論理的思考ができている。中には勉強態度に関して決して褒めることはできない生徒もいたり、必ず「近道」を探ろうという生徒もいたりと、色々なタイプがいたが。

インター校に通うタイ人というのは金持ち(少なくとも私が通った高校の場合でも、私が教えてきたタイ人インター生も)が多く、しかも金持ちはこの国では特権階級でありそのような扱いも受けているため、一般的なタイ人とは態度もそれまで受けてきた教育もまるで異なる。自分が教育サービス事業に関わるようになってから、一体タイ人のエリート層というのはどのような教育を受けてきたのか、ということは心の片隅でいつも興味をそそられてきた題材だ。

高校生あたり(私が通ったのは高校時代のみで、今まで面倒を見てきたタイ人の生徒も高校生)の授業・生活態度を見ていると、確かに与えられた課題は終わらせ、テキパキと要されていることを要領よくこなしていっているようだったが、全体的な勉強時間を見ると、決してそこまでのレベルに達するような勉強のやり方ではない、とは感じていた。ただ、勉強の質が良い、ということは何となくわかった。必要最低限の努力でそれなりの成果をあげる、ということに尽力する、そんなイメージだ。

一体どこでそのような思考を身につけたのか、という疑問にたいして私が考えていた結論は、やはり幼児期に受けた教育が(金持ちタイ人は幼児教育に湯水のようにお金を使いこんだりするので)起因しているのだということだった。

そんななか、つい最近、面白い光景を見た。塾へ上がっていくためのエレベーターの中での話。特権階級であろうと思われる髪の毛のボリュームがある貴婦人が小さな子供を抱えながらエレベーターに乗っていたところ、私がそこに滑り込んだ。その貴婦人は恐らくその子供のお婆ちゃんにあたるような年齢だと思う。彼女は丁寧にタイ語で、「どちらの階へ行かれますか」と私に聞いてきて、私が4階であることを告げると4階のボタンを押してくれた。そして、その直後に、その小さな子供(恐らく喋ることもままならない年齢)がエレベーターの階が表示される電子ボードを見つめているのを見て、「はい、これは一階ね。一階。」と言い、エレベーターが動くと「上に上ってるよ。上にね、そして・・・・2階に着きました。2階よ、2階。」と子供に対してアナウンスしている。そのような調子で、上がるとか、ドアが開くとか、ドアが閉まるとか、いちいち話しかけているのだ。私は直感的に、このお婆ちゃんは随時、このようなやり方で子供にべったりとついて教育しているのだと感じた。単に話しかけている、というのでない、教育しようとしている、というところに注目したい。

私は、長年何となくで抱いていた疑問が晴れた気分になった。なるほど、そういえば、タイ人は家族のつながりが非常に深い。タイ人と結婚すると、その家族全員を養うつもりで結婚しないといけないという話まであるほどだ。一般的なタイ人の家庭だと、教育に対してそれほど熱心になることはあまりないが、特権階級の親というのは、自分が優秀であることが多いので、子供にもそれを求めて意外と教育熱心になるのかもしれない。ただ、教育熱心になるやり方が、日本とは少し違うということは何となく分かる。子供がまだ小さいころに徹底的に教育をして、ある程度大きくなったらとりあえず質の高い学校に入れて、それ以外は自由にさせる、という感じなのかもしれない。この推論には疑問が挟まれることもあるだろうが、少なくとも、私がエレベーターで見た光景が、タイ人の特権階級のエリート教育の一端を担っているのではないかということは、十分に一考する価値があることだろうと私は考える。

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